コシアキトンボの未成熟個体

2012.05.31(Thu)

早いもので、もう夏のトンボ、コシアキトンボが現れ始めています。池のほとりの木々の間を、雄の未成熟個体が一頭、ふわふわと飛んでいました。

IMG_7762.jpg IMG_7764.jpg
(20120530 千葉市若葉区)

成熟するとビュンビュン飛び回ってあまりとまらなくなるコシアキトンボですが、このひとはまだ羽化したてのようで、少し飛んでは枝にとまり、という繰り返しです。翅もまだうっすら白濁していますね。「腰空」の名の由来である胴体の黄色い部分は、雄は成長とともに白くなります。

その白かったり黄色かったりする部分が昔から人々にいろんなものを連想させてきたようで、このトンボには実に様々な別名があります。例を挙げると、

・電気トンボ
・雷トンボ
・蝋燭トンボ
・兵隊トンボ(昔の陸軍の軍帽には黄色いバンドがあった)
・パンダトンボ

などが比較的メジャーなところ。他の呼び名を知っている方がいらっしゃいましたら、是非とも教えてくださいませ。

※コシアキトンボ
千葉市レッドリスト・C(要保護生物)


▽コシアキトンボに関する過去の記事

コシアキトンボ 2011.7.16
スポンサーサイト

Category: 昆虫類・トンボ目

18:10 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

ニホンカワトンボの交尾

2012.05.30(Wed)

今日は水路の調査を行っていたのですが、途中で「長靴がなぜか両方いっぺんに水漏れし始める」というトホホなトラブルにより上陸を余儀なくされました。

逆さにした長靴を振りつつふと横を見ると、カワトンボのカップルが交尾の真っ最中でした。

IMG_7727.jpg IMG_7729.jpg
(20120530 千葉市若葉区)

・・・見事にハート形です。右上が雄、左下が雌です。このハート形にはもちろん理由があり、トンボの雄は腹部前端付近に精子をたくわえておく場所があり、雌がそれにアクセスするためにこのような体勢になるわけです。雄の尻尾の先にはクワガタ状のはさみがついており、これで雌の首をしっかりとつかんでいます。

動画も撮影してみました。



一旦離れた後、向き合って雄が翅をゆっくり動かしたりしているところなどまるで会話をしているようで、なんだか他人の情事を覗き見してしまったような気恥しさがあります(いや、実際そうなんですが)。しかし、カワトンボの飛び回る季節はもうすぐ終わりであり、6月には成虫が死に絶えてしまうことを思い出すと、こういった光景もまた、違った意味を持って迫ってきます。

※ニホンカワトンボ
千葉市レッドリスト・C(要保護生物)


▽ニホンカワトンボに関する過去の記事

ニホンカワトンボ・2012年 2012.5.9

ニホンカワトンボのヤゴ 2011.9.26

ニホンカワトンボの未成熟個体 2010.4.24

ニホンカワトンボのいろいろ 2009.5.17

ニホンカワトンボ 2009.5.1

Category: 昆虫類・トンボ目

20:39 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

マダラアシゾウムシ

2012.05.28(Mon)

マダラアシゾウムシが、農道を横断中でした。

IMG_7692.jpg IMG_7693.jpg
(20120528 千葉市若葉区)

体長は1.5cmほどですが、接写するといやはや凹凸だらけでいかついのなんの、迫力満点です。脚は名前の通り斑模様が入っており、そこらへんも中世の陸戦兵器を思わせます。

実際には、動きの鈍い、幼虫はクヌギなどの枯木の材質等を食べ、成虫はその樹液を吸ったりする虫で、敵に襲われた際には擬死、すなわち「死んだふり」で対抗するという平和主義者です。そしてこのミリタリーっぽいカラーリングも実は迷彩色というか保護色で、樹皮にとまると途端に周囲に溶け込み、まったく目立たなくなるのです。

そして私がこの虫の名前を長年「マダラコブゾウムシ」だと勘違いしていたことは、できれば内緒にしておいてください。

Category: 昆虫類・甲虫目

18:35 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

アマサギ

2012.05.27(Sun)

アマサギは、房総半島で見られるサギ類の中では若干珍しめの種類ですが、西日本にお住まいの方にとっては比較的ポピュラーな存在なのではないでしょうか。日本には基本的に夏鳥として飛来する南方系のサギで、近年、東日本以北でも次第に記録が増えつつあります。

田んぼのアオサギの群の中に、一羽混じっているのを見つけました。

P5266953.jpg P5266962.jpg
(20120526 千葉市若葉区)

夏羽だとこのように頸部と背中に茶褐色をまといます。アマサギとは「亜麻鷺」なのです。冬羽だと真っ白になって他のサギとの見分けがしづらくなるのですけれど、先にも書いたように千葉あたりで見られるのは夏羽の季節に限られていますので、とりあえず問題なしです。体格はチュウサギやコサギよりさらに一回り小柄です。

P5266959.jpg
(20120526 千葉市若葉区)

稲の間を歩き回っては、しきりに何か小動物を食べていました。他のサギ類に比べると、魚類よりも、昆虫やミミズなどの無脊椎動物をよく食べる傾向があり、それらを求めてトラクターや牛馬のあとをくっついて歩く習性はよく知られています。

Category: 鳥類

22:20 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

ヒメヒゲナガカミキリ

2012.05.26(Sat)

かの大生物学者のホールデンが「すべての生き物をお造りになった神様というものがいるとしたら、神様はよほど甲虫が好きだったんだ」と言ったというくらい、甲虫の仲間というのは多種多様です。その中のカミキリムシの仲間だけで、全世界で2万種以上もあるということです。

日本でも、800種あまりが確認されています。美しいものや変てこな姿をしたものなどとにかくいろいろなのですが、ヒゲナガカミキリ族は、名前の通りとにかく触角が長いのが特徴です。

この日出会ったヒメヒゲナガカミキリは、体長2cm弱ほど。その体表はなんだか鋳物のような質感をしています。

P5256867.jpg P5256868.jpg
(20120525 千葉市若葉区)

広葉樹の枯れ木や伐採木に発生するカミキリムシなので、手入れの行き届いた昔ながらの谷津田の斜面林のようなところではよくその姿を見ることができます。しかし残念ながら、そのような場所はだんだん少なくなってきました。この虫を里山のシンボルだと思う人は誰もいないでしょうが、その生活はまさに、適度に人為的な管理がなされた里山にマッチしたものであったのです。

Category: 昆虫類・甲虫目

21:20 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

スッポンの「小田さん」

2012.05.25(Fri)

今年も千葉市内の河川でスッポンの記録に精を出しております。

皆様ご存知のごとく、生き物というのはまず名前をつけると断然、個体識別がしやすくなります。私が見ている範囲だと、スッポンというのは日光浴のため上陸する場所がほぼ決まっている上、他のカメに比べてかなり色や模様の変異が大きく、見分けは比較的容易です。しかし、いつも最低数メートル離れているので、どうも雌雄の判別に確信が持てません。そこで、間違いがないように名前ではなく苗字をつけることにしました。

今までのブログにアップした分から紹介すると、

このひとはとにかくめちゃくちゃ大きくて真っ黒なので「大田さん」です。

で、このひともかなり大きく、赤茶色をしているので「赤田さん」と呼んでいます。

このひとは緑色っぽいので「青田さん」です。

そして今回、今までで一番下流の地点で、明らかに初めての個体と出会いました。なぜ初めてだと断言できるかというと、甲長15cm程度と小さいからです。

P5246892.jpg P5246893.jpg
(20120524 千葉市)

さっそく「小田さん」と命名させて頂きました。

今までで一番下流の地点で出会ったと書きましたが、比較的近いところに「赤田さん」の出現ポイントがあります。実は「赤田さん」がもっと小さなスッポンとともにいるところを以前一度見ています。もしかしたらそれはこの「小田さん」だったかもしれません。

スッポンは基本的にカメですから長命です。成熟するまでに10年ほどかかり、事故や病気がなければ人間並かそれ以上の年月を生きるとも言われています。国内の野生個体群の研究は充分に行われているとは言い難く、千葉県内においても、各地にそれなりの数のスッポンが生息していることは確かなのですが、それが在来のニホンスッポンの残存個体なのか、飼育下(なにしろたくさん養殖されてますからね)から逸走したものに由来するのかが調査・検討されていないのが現状です。形も生態も、見ての通り大変におもしろい生き物であり、歴史的にも日本人の生活のそばにいたにもかかわらず、誰にも顧みられないままにその生息環境を奪われつつあるとしたら、それはちょっと悲しいことだと私は思うのです。

※スッポン
環境省レッドリスト・DD(情報不足)
千葉県レッドリスト・情報不足
千葉市レッドリスト・X(消息不明・絶滅生物)


▽スッポンに関する過去の記事

スッポン・2012年 2012.3.30

スッポンの日光浴・その2 2010.7.28

スッポンの日光浴 2010.7.16

スッポン 2010.5.13

Category: 爬虫類

16:57 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

アイイロニワゼキショウ

2012.05.24(Thu)

ニワゼキショウだったらそこらへんにいっぱい生えていますが、アイイロニワゼキショウを野外で見かけることは滅多にありません。谷津田の奥の日当たりの良い畦に、数本だけ咲いているのに出会いました。

P5236810.jpg P5236813.jpg
(20120523 千葉市若葉区)

確かにニワゼキショウによく似ているものの、雄しべが合着して高く飛び出し、花びらの先がリボン状に細くなっているので容易に区別できます。藍色というよりはむしろ空色で、リンドウの仲間を思わせるような色です。

P5236811.jpg
(20120523 千葉市若葉区)

花びらの直径はニワゼキショウよりむしろ小さく、1cmちょっとくらいしかありません。そのかわり背丈はずっと高く、20~30cmにまで達します。

ニワゼキショウと同じく北米原産の帰化植物です。実のところニワゼキショウ属には100種類以上があり、そのすべてが北米原産なのです。その分類はまだ研究途上にあり、今後、この種にも新たな名が冠せられたりすることもあるかもしれません。

Category: 山野草

20:53 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ヤニサシガメ

2012.05.23(Wed)

林縁の葉上で、ヤニサシガメがアリのような昆虫を狩っているのに出っくわしました。

P5236781.jpg
(20120523 千葉市若葉区)

ヤニサシガメは体長1.5cmほど。名前の通り、体中がヤニのような物質で覆われた肉食性のカメムシ、すなわち「刺亀」です。このヤニのような物質は、最近の研究では松ヤニそのものであり、自分で体に塗りつけているのだそうです。その理由については、

・ヤニでくっつけて獲物を捕える
・集団越冬の時みんなでくっつくのに都合がいい
・天敵から身を守るため

など様々挙げられておりますが、実際のところ決定的なところはわかっていないようです。千葉県・千葉市ともレッドリストへの掲載こそありませんが個体数はさほどに多くなく、前述の要因により、松の木のある場所に生息しています。

Category: 昆虫類・カメムシ目

21:27 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ツマグロハナカミキリ

2012.05.21(Mon)

ツマグロハナカミキリは、初夏によく見られます。体長1.5cmほど、林縁の花に花粉を食べにくる、スマートな姿のカミキリムシです。

P5216777.jpg P5216779.jpg
(20120521 千葉市若葉区)

前翅の後端に黒い部分があるのが「ツマグロ」の名の由来なのですが、この写真の個体ではほとんどそれは目立ちませんね。この虫の場合、体色には千差万別の個体変異があり、同じように模様の個体変異の大きいヤツボシハナカミキリとは、実は同種だとかそうでないとかいう分類上の議論の種も抱えています。個体数の多い身近な昆虫でも、意外とわかっていないことは多いということをあたかも体現するかのような虫なのです。

Category: 昆虫類・甲虫目

18:59 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ラクダムシ

2012.05.19(Sat)

アミメカゲロウ目としましたが、最近ではむしろ独立のラクダムシ目として扱われるようになり、新しい図鑑などにもそのように記載されることが多くなりました。その謎めいた素性にふさわしく、このラクダムシは格好もなんだか謎めいています。

P5186712.jpg P5186716.jpg
(20120518 千葉市稲毛区)

体長はわずか2cmほど。この写真の個体は雌で、お尻から産卵管が突き出ています。ヘビトンボにも、またシリアゲムシの仲間にも似た奇妙なプロポーションです。幼虫は樹皮の下で暮らし、キクイムシの幼虫などを捕食して成長します。その生態にはいまだ明らかになっていない点も多いようです。

※ラクダムシ
千葉市レッドリスト・A(最重要保護生物)

クロイトトンボの連結産卵

2012.05.17(Thu)

昨年、クロイトトンボを見つけた市内の池を再訪しました。産卵行動が見られるのではないかと思ったのです。

アタリです。じーっと目を凝らすと、池に浮かぶスイレンの葉の上に、綺麗なつまようじみたいなものがたくさん乗っかっています。全部クロイトトンボです。胸部に白い粉を吹いたようになっているのは、成熟した雄である証です。

P5166678.jpg P5166687.jpg
(20120516 千葉市若葉区)

さらに目を凝らすと、たくさんのペアが今まさに連結産卵の真っ最中。

P5166659.jpg P5166662.jpg
(20120516 千葉市若葉区)

クロイトトンボの産卵は、こうしてつながった状態で、水面下の植物質に行われます。時には、雌の体がかなり水面下に潜った状態で行われることもあります。動画もご覧ください。



何でもそうなのですが、生き物って、そこにいてもなかなか「見えない」ものです。このように小さな生き物だとなおさらです。「いるだろう」とか「いるかな?」と思って見ないと、相当たくさんいても目に入らなかったりします。池や沼をのぞく時はちょっとそういうつもりでのぞいてみると、皆様も何か素敵なものに出会えるかもしれなせん。

▽クロイトトンボに関する過去の記事

クロイトトンボ 2011.6.30

Category: 昆虫類・トンボ目

11:50 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

道路を横断するクサガメ幼体

2012.05.16(Wed)

クサガメを飼うのに、水槽に水だけ張って、陸地を作らずに飼っている人がたまにいます。あれは間違いです。クサガメは本来、水棲というよりは半水棲であり、水辺と陸地にまたがる広い行動範囲を持って生活しているカメだからです。

この子はとてとてと農道を横断していまして、あやうく轢くところでした。

P5166580.jpg P5166579.jpg
(20120516 千葉市若葉区)

大きさは、このくらいです。

P5166585.jpg
(20120516 千葉市若葉区)

カメは池や川にいるもの、と多くの方は思っているかもしれません。しかし、実際にはクサガメは田んぼとその周辺にも広く暮らしていました。現在でも、昔ながらの圃場整備されていない谷津田などにはよく見られます。歩く能力は非常に高く、直近の水辺から数百メートルも離れた場所で出会ったことも何度もあります。

そんな彼らの移動をおびやかし、生活圏を分断するものがすなわち、自動車道路、そしてもっと単純に、コンクリートの三面張り水路であったり、U字溝であったりするのです。歩く能力と泳ぐ能力がいくら備わっていても、カメというのは垂直面を登る能力は有していないのです。かくして、圃場整備がなされた現代の田んぼからは、彼らはゆっくりと消えていく運命に落とされていったのです。

※クサガメ
千葉県レッドリスト・情報不足
千葉市レッドリスト・C(要保護生物)


▽クサガメに関する過去の記事

クサガメ、水中でミミズを食べる 2011.10.8

水中のクサガメ 2011.9.27

這いのぼるクサガメ 2011.6.4

クサガメの幼体 2011.5.22

三面張り水路に生きるクサガメ 2011.4.21

真冬のクサガメ 2011.1.18

谷津田の水路のクサガメ 2010.10.18

クサガメ、水底の泥にもぐる 2010.7.23

鹿島川沿いの田んぼのクサガメ 2010.5.30

クサガメ@綿打池 2010.3.7

カメの日米交流 2010.2.14

クサガメの木登り 2009.8.14

クサガメ@泉自然公園 2009.7.9

クサガメ@都川 2009.5.5

Category: 爬虫類

22:42 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

アシハラガニの採餌

2012.05.15(Tue)

この日は用事のついでに谷津干潟に寄り道。シギなど撮っていらっしゃる皆様に交じって、ひとりだけカメラを真下に向けてアシハラガニを撮っていると、知らないおじさんに肩を叩かれました。

「お兄さん、鳥はあっちだよ」

・・・わかってます。

P5096545.jpg P5096546.jpg
(20120509 習志野市)

アシハラガニというのは、大きな鋏にいかつい図体をしているおそろしげなカニですが、その動作はなかなかかわいらしいもので見飽きません。採餌風景を動画に撮ってみました。



見かけによらずというか、その食事の仕方は大変につつましやかで、海藻の表面の柔らかくなったところなんかを少~しずつちぎっては食べています。こんなんでおなかがふくれるのか、と思うほどです。もっとも、いつもいつもこうしてお上品なわけではなく、時には別種のカニを襲って捕食したりすることもあるそうです。

※アシハラガニ
千葉県レッドリスト・D(一般保護生物)


▽アシハラガニに関する過去の記事

アシハラガニ 2010.5.17

Category: エビ・カニ類

14:38 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

レンゲソウ

2012.05.14(Mon)

小さな王冠のように美しいレンゲソウが、「緑肥」となることはよく知られています。秋に田んぼに種子をまいておき、田起こしの時に土中に鋤き込んでしまうことで土を肥やすことができるというわけです。

P5086566.jpg P5086568.jpg
(20120508 袖ヶ浦市)

ではいったい、どうしてレンゲを鋤き込むことが田んぼの土を肥やすことになるのでしょう。それには、こいつの根っこに共生している「根粒菌」というものが関係しています。

ものすごく簡単かつ乱暴に言うと、植物の成長には窒素が欠かせません。なんだ、窒素なんて大気中にたくさんあるじゃないか、と考える方もいらっしゃるかも知れませんが、大気中にある窒素は化学式N2で表される「窒素分子」と呼ばれるものでして、そのままでは植物が利用することはできないのです。

ところが、この「根粒菌」は、ニトロゲナーゼという酵素を持っておりまして、これでもって窒素分子をアンモニア態窒素という、植物が利用できる形に変換し、宿主である植物に供給することができるのです。でありますから、そんなものと共生しているレンゲソウは天然の肥料、すなわち緑肥であり、それを土中に鋤き込むと土壌が改良されると、まあこういうわけです。

何にせよ先人というのは賢いものだなあ、と思うと、春先の田んぼに一面に咲き誇るレンゲソウ、というのはいかにも古き良き日本の風景、という感じがしますが、実はこのレンゲソウ、古い時代に中国から渡来した帰化植物だというのは、緑肥であることほどには知られていない事実でもあります。

Category: 山野草

21:36 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

トウキョウサンショウウオの幼生

2012.05.13(Sun)

初夏を迎え、湧水の流れ込む水たまりではトウキョウサンショウウオの幼生がすくすくと育っています。

P5086532.jpg
(20120508 袖ヶ浦市)

ちっちゃいながら手足も生え揃い、外鰓がある以外は立派なサンショウウオの形になってきました。ただし、絶対的なサイズはまだまだ小さく、同じところにいるシュレーゲルアオガエルの幼生と比べて、この程度の大きさです。

P5086526.jpg
(20120508 袖ヶ浦市)

この写真の場所では、谷津田の管理者の方がうまいこと乾上がらない工夫をしてくださっているのですが、昨今の乾燥化により房総半島のあちこちで湧水の水位低下が進んでいることは、トウキョウサンショウウオの生育にとって大きな問題です。また、アメリカザリガニに加えてアライグマやイノシシの増加による捕食圧も深刻です。そうして考えると、トウキョウサンショウウオの生存の危機は、すなわち健全な谷津田の生態系に対する危機の象徴でもあるとも言えるのです。

※トウキョウサンショウウオ
環境省レッドリスト・VU(絶滅危惧Ⅱ類)
千葉県レッドリスト・A(最重要保護生物)
千葉市レッドリスト・A(最重要保護生物)


▽トウキョウサンショウウオに関する過去の記事

トウキョウサンショウウオの卵嚢 2012.4.19

トウキョウサンショウウオ 2012.2.14

トウキョウサンショウウオの幼生 2010.5.24

Category: 両生類

19:00 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

カラスアゲハ(♂)

2012.05.12(Sat)

美しいカラスアゲハは、子供の頃から大好きなチョウです。谷津田の土手を歩いていてふと色彩を感じて視線を落とすと、すぐ足元に大きく翅を拡げていました。

P5086510.jpg
(20120508 袖ヶ浦市)

さあ撮れ!と言わんばかりです。羽化からさほど時間が経っていないらしく、翅は全くいたんでいません。前翅にビロード状の部分がありますが、これは「性標」といい、雄である証です。雄は雌に比べ、この青い色の鱗粉がいっそう鮮やかです。

このカラスアゲハ、見かけるのはもっぱら郊外で、他のアゲハチョウに比べると都市公園などで出会う確率はかなり低いものです。それは、幼虫が野生のミカン科の葉を食草とするためです。

▽カラスアゲハに関する過去の記事

カラスアゲハの吸水 2010.7.27

カラスアゲハ 2009.7.31



Category: 昆虫類・チョウ目

11:05 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

プライヤシリアゲ

2012.05.11(Fri)

プライヤシリアゲは、千葉県のレッドデータブックへの記載こそありませんが、県内におけるその生息数はヤマトシリアゲなどに比べ非常に少ないことは間違いありません。

谷津の奥の森の中で雌に出会いました(シリアゲムシの雄は、尾部がサソリのように巻き上がっているので容易に区別できます)。黄色と黒の体と、透かしの入った翅がなかなか綺麗です。

P5086496.jpg
(20120508 袖ヶ浦市)

その名前は、ヘンリー・プライヤーさんという、明治期の日本に滞在していたイギリス人に由来しています。この人は不思議な人物で、プロの学者としてではなく、保険会社の社員として来日しています。思いきり乱暴に言ってしまえば、もともとはただの生き物好きのサラリーマンだったわけですが、日本動物学史を紐解いた時にはこの人の存在がそれこそそこいら中に浮き上がってくるのです。日本産チョウ類初めての図鑑・「日本蝶類図譜」全三巻を著したのも彼、沖縄の県鳥・ノグチゲラを発見したのも彼、生きたニホンオオカミをロンドン動物園に送ったのも彼です。

21歳で来日した彼は、1888年、38歳で横浜で病死しました。その墓所は今も横浜の外国人墓地にあります。

シオヤトンボの産卵

2012.05.10(Thu)

谷津の奥の沼地の上空を、しきりにホバリングしているシオヤトンボの雌に出会いました。

P5086487.jpg
(20120508 袖ヶ浦市)

やがて、尾部で激しく水を叩いて前方に飛ばすようなスタイルで産卵を始めました。これを「飛水産卵」と呼びます。足元がぬかるみ過ぎていて近づけなかったのでやや不鮮明ですが、動画でご覧ください。



これでもわかる通り、雄が付近を飛び回り、隙を見て雌を奪い取ろうとする別の雄から力づくで守っています。これは「警護飛翔」と呼ばれる行動です。やがて孵化した幼虫はこうした湿地などの浅い泥の中に潜って成長し、1年を経て成虫となるのです。

▽シオヤトンボに関する過去の記事

シオヤトンボの未成熟個体 2012.4.20

シオヤトンボの交尾 2009.5.22

シオヤトンボ(♂) 2009.5.2

Category: 昆虫類・トンボ目

19:54 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ニホンカワトンボ・2012年

2012.05.09(Wed)

ニホンカワトンボは、房総半島では4月中旬以降に成虫が出現します。ゴールデンウィークも過ぎ、その活動はピークを迎えています。

この谷津田では毎月生物調査を実施させて頂いているのですが、前月まであちこちの土水路でヤゴを確認していました。そして期待通り、水路の上空、そして植物上に非常に高密度で成虫が見られました。

P5086457.jpg P5086464.jpg
(20120508 袖ヶ浦市)

ご覧の通り、翅の色には橙色型から無色型まで様々な変異があり、しかも成熟した橙色翅型の雄は腹部に博銀色の粉を吹いたりするので、一見して同種のトンボとは思えないほどその姿はバラエティに富んでいます。

このように流水の周辺を鮮やかに彩っているカワトンボはあとひと月もすると消えてしまい、入れ替わるように真っ黒なハグロトンボが出現します。そうしたら、いよいよ暑い夏です。

※ニホンカワトンボ
千葉市レッドリスト・C(要保護生物)


▽ニホンカワトンボに関する過去の記事

ニホンカワトンボのヤゴ 2011.9.26

ニホンカワトンボの未成熟個体 2010.4.24

ニホンカワトンボのいろいろ 2009.5.17

ニホンカワトンボ 2009.5.1

Category: 昆虫類・トンボ目

21:00 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

水路のシュレーゲルアオガエル

2012.05.08(Tue)

昨年のこの時期、シュレーゲルアオガエルが集まっていた用水路をのぞいてみました。

いました、いました。

P5076444.jpg P5076451.jpg
(20120507 千葉市若葉区)

ただしこの1匹だけです。出現のタイミングがずれているのでしょうか。他には大量のニホンアマガエルと、このようなアオダイショウも。

P5076442.jpg
(20120507 千葉市若葉区)

カエルが出ればヘビも出るのは自然の理というやつです。たとえ捕食者が待ち受けていようとも、カメラをぶらさげた変な人間がいようとも、生き物には行かなくてはならない時というものがあるのです。それがすなわち、繁殖の時です。

※シュレーゲルアオガエル
千葉県レッドリスト・D(一般保護生物)
千葉市レッドリスト・C(要保護生物)


▽シュレーゲルアオガエルに関する過去の記事

シュレーゲルアオガエル、水路に集まる 2011.5.14

路上で寝るシュレーゲルアオガエル 2010.11.13

シュレーゲルアオガエルの幼体 2010.8.28

斑紋のあるシュレーゲルアオガエル 2010.8.23

やっぱりシュレーゲルアオガエル 2010.8.20

シュレーゲルアオガエルとニホンアマガエルの幼体の区別 2010.7.7

シュレーゲルアオガエルのオタマジャクシ 2010.6.4

シュレーゲルアオガエル・2010年初目撃 2010.5.28

千葉市の両生類 2010.1.24

シュレーゲルアオガエル・2009コレクション 2009.12.31

シュレーゲルアオガエル@いずみの森 2009.11.11

路上のシュレーゲルアオガエル 2009.10.23

台風前夜のシュレーゲルアオガエル 2009.8.31

シュレーゲルアオガエルの昼寝 2009.7.28

ミカンの木のシュレーゲルアオガエル 2009.7.26

シュレーゲルアオガエルの上陸 2009.6.30

シュレーゲルアオガエル・今年初目撃 2009.5.24

シュレーゲルアオガエルの幼体・その2 2008.8.31

シュレーゲルアオガエルの幼体 2008.7.29

ツバキの木のシュレーゲルアオガエル 2008.7.19

窓ガラスのシュレーゲルアオガエル 2008.7.8

バラの葉のシュレーゲルアオガエル 2008.5.31

Category: 両生類

19:11 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

垂直壁面で日光浴するニホントカゲ

2012.05.07(Mon)

ニホントカゲは、ニホンカナヘビに比べると登坂能力が低く、そのことが減少の大きな原因の一つにもなっています。つまり、生息域がブロック塀などで分断されると移動できなくなってしまうわけです。

ただし、全く壁などを登れないというわけではなく、手がかりさえあれば苦手なりにある程度はよじ登ることができます。コンクリートの壁で日光浴しているのに出会いました。

P5076416.jpg P5076421.jpg
(20120507 千葉市若葉区)

カラーリングからもわかる通り、まだ若い個体です。体長も10cmほどしかありません。

最初の話に戻ると、ニホントカゲが人為的な環境改変の影響を受けやすいことには、登坂能力が低いこと以外にも、根本的に生態そのものが都市にマッチしていないという点が大きな理由として挙げられます。彼らは休息したり隠れたり、また採餌したりする上で凹凸や小さな穴、植物などの遮蔽物の多い地面を必要とし、アスファルトで平らに均されたような場所では生活することができないのです。人工物であっても、例えば石垣などはニホントカゲの生息に大変適しているのですが、その石垣の隙間をセメントで塞がれたりするともうダメです。

この写真の個体は、この壁面の下部の、コンクリートの割れ目や破れ目などを自然の穴のかわりに用いているのでしょう。壁面が古くなり崩落しかかっているのが、むしろ幸いしているというわけです。

※ニホントカゲ
千葉県レッドリスト・B(重要保護生物)
千葉市レッドリスト・B(重要保護生物)


▽ニホントカゲに関する過去の記事

越冬明けのニホントカゲ 2012.3.21

ニホントカゲの赤ちゃん 2011.8.7

ニホントカゲの幼体 2010.9.27

ニホントカゲの幼体 2010.8.4

ニホントカゲの日光浴 2010.5.23

ニホントカゲ、コバネイナゴを襲う 2009.10.15

ニホントカゲの幼体 2009.8.5

ニホントカゲ、雄同士の闘争 2009.4.26

ニホントカゲ 2008.4.25

Category: 爬虫類

18:26 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

ホソオビヒゲナガ

2012.05.06(Sun)

ホソオビヒゲナガは、実に長い触角を持つ、金属光沢の美しい開張1.5cmほどの小さなガです。

P5056534.jpg
(20120505 千葉市若葉区)

これは雄で、雌の触角は半分くらいの長さなのですが、半分にしたってずいぶんな長さです。

毎年、初夏が近づくと出現します。葉上にとまる際は、必ず頭を葉のへりの外側に向け、触角を宙に伸ばすような形でとまるのです。

Category: 昆虫類・チョウ目

17:53 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

キンラン・2012年

2012.05.05(Sat)

偶然見つけたこの群生地に訪れるのも3年目です。今年はギンラン、ササバギンランはやや少ないもののキンランはこれまでで最も多く、林床を埋め尽くすような勢いで咲いていました。

P5056463.jpg P5056499.jpg

(20120505 千葉市若葉区)

お年を召された方にお話を伺うと、誰に聞いても異口同音に、昔はたくさん咲いている場所がいっぱいあった、という意味のことを言います。しかし現在、まあ断言はできませんが、私の知る限りこれほどの高密度で咲いている場所はおそらく千葉市内でここだけです。

毎年書かせて頂いていることですけれども、このキンランに関して、ブログを読んでくださっている皆様に私からお伝えしたいことがあるとすれば、それは一にも二にも、

「掘らないでください」

ということです。樹木と菌根菌との、いまだ十分に解明されていない不思議な共生関係の中で生きているキンランは、人為的な環境のもとで育てることができない植物だからです。千葉県レッドデータブックの、ごく端的な記述を引用させて頂きます。

「庭に植えても育たない」

※キンラン
環境省レッドリスト・VU(絶滅危惧Ⅱ類)
千葉県レッドリスト・D(一般保護生物)
千葉市レッドリスト・A(最重要保護生物)


▽キンランに関する過去の記事

キンラン・2011年 2011.5.13

キンラン 2010.5.6

Category: 山野草

19:36 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

タイワンキシタアツバ

2012.05.04(Fri)

「台湾」という名前からいかにも外来種のようなイメージを受けますがそんなことはなく、日本各地で比較的普通に見られるヤガ科アツバ亜科のガであります。

P5016428.jpg
(20120501 長生郡長柄町)

「キシタ」は「黄下」で、この写真でもわずかに覗いている後翅が黄色いことに由来します。飛んでいる時にはこの黄色がよく目立ち鮮やかです。とまっている時には全体的に三角形、模様も三角形でなかなか綺麗です。

幼虫の食草はイラクサ科のヤブマオとされています。ヤブマオというと「何それ?」となる方も多いかもしれません。実はこれも、わりあい普通に全国各地で見られる植物です。多分、ネットで画像検索してみると「ああ、これね」って納得して頂けると思います。

Category: 昆虫類・チョウ目

22:28 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ヒメウラナミジャノメの交尾

2012.05.03(Thu)

漢字にすると「姫裏波蛇目」という、風流なのか不気味なのかよくわからない名前を持つヒメウラナミジャノメ。ジャノメチョウの仲間では春先かなり早くから出現するほうです。夕方の薄暗い斜面林で子作りに励んでおられました。

P5016423.jpg
(20120501 長生郡長柄町)

幼虫の食草は各種のイネ科植物。山野から都市公園まで、さまざまな環境で姿を見ることができます。標高の高いところでは少なくなるそうですが、そもそも千葉で一番高い山でも400mちょいですから、房総半島には高山というほどの場所はないんですね。

▽ヒメウラナミジャノメに関する過去の記事

ヒメウラナミジャノメ 2008.5.28

Category: 昆虫類・チョウ目

12:13 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

キイロホソガガンボの交尾

2012.05.02(Wed)

千葉市近辺で見られるガガンボには実はずいぶん多様な種類があるのですが、キイロホソガガンボはその中でも比較的普通に見られます。

林縁の葉上で交尾中のところをパチリ。

P5016393.jpg
(20120501 千葉市若葉区)

上の太い方が雌、下の少し細いのが雄です。

ガガンボは確かにカに似ているけれど、針状の口を持っておらず、人の血を吸う能力も習性も有しておりません。成虫に羽化した後はせいぜいが樹液や花の蜜をなめる程度で、寿命も数日から一週間程度しかないのです。その間にこうして繁殖行動を済ませ、次代に命をつなぐと死んでいきます。昆虫が成虫になると翅を持つのは、まさにそのためなのです。

▽キイロホソガガンボの過去の記事

キイロホソガガンボ 2008.6.7

Category: 昆虫類・ハエ目

12:01 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

トゲヒゲトラカミキリ

2012.05.01(Tue)

トゲヒゲトラカミキリです。トゲヒゲトラカミキリ。早口で10回続けて言ってみましょう。うまく言えた人はかなりカツゼツの良い人です。

P5016392.jpg
(20120501 千葉市若葉区)

・・・ちなみに私は今日の今日まで「トラヒゲトラカミキリ」だと勘違いしていました。

幼虫はスギやセンノキの材質を食べて成長し、成虫はカエデなどの花に集まります。体長は1cmほど。薄いグレーと黒の渋い模様をした、なかなか美しいスマートなカミキリムシです。

Category: 昆虫類・甲虫目

20:45 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

プロフィール

大島健夫

Author:大島健夫
1974年11月20日生まれ。千葉生まれ千葉育ち。美浜区在住。

記述の中に間違いや誤解を見つけた方、またそれ以外にも何かございましたら、どうか
inaka_jikan@yahoo.co.jp
まで送っていただけると幸いです。

大島健夫公式サイト

ツイッター

カレンダー

04 | 2012/05 | 06
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
683位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
69位
アクセスランキングを見る>>

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR
↑