ムスジイトトンボ

2012.06.30(Sat)

ムスジイトトンボは、沈水植物や浮葉植物の多い、開けた池で発生します。

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(20120629 千葉市緑区)

写真でもわかる通り、この池にはヒシだのオオカナダモだのが大繁茂しており、まさにそういった条件を満たしています。じーっと目を凝らすと、たくさんの個体がヒシの上を行き来していました。体長は3cm少々で、雄のこの鮮やかなブルーが植物とまぎれるので、岸から見ていると、ともすると見失いがちになります。

連結・産卵行動も撮影できました。雌は地味な色具合です。

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(20120629 千葉市緑区)

ムスジイトトンボは、セスジイトトンボやオオイトトンボと実に形態がよく似ています。今回も「ひょっとして間違えたら・・・」と思い、いつもお世話になっている房総蜻蛉研究所のT先生にご確認を仰いだところ、ムスジイトトンボで良いだろうとのことでした。

どちらかと言えば南方系の種で、日本では宮城県以南、国外では台湾、中国大陸の一部、ベトナムに分布しています。「千葉県レッドデータブック動物編 2011年改訂版」によれば、現在、千葉県内での確実な産地は10箇所に満たないとのことです。

※ムスジイトトンボ
千葉市レッドリスト・A(最重要保護生物)
千葉県レッドリスト・B(重要保護生物)
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Category: 昆虫類・トンボ目

18:29 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

コシアキトンボの羽化殻

2012.06.28(Thu)

今の季節、ちょっと日陰のある池や沼の周囲には、夜の間に羽化したコシアキトンボの羽化殻がよく見られます。

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(20120627 千葉市若葉区)

コシアキトンボはかなり環境の悪化に強いようで、ヤゴが育つのに必要な水底の堆積物さえあれば、都市公園の池や防火水槽みたいなところからも発生します。成熟した雄は縄張り意識が強く、この池でも激しい空中戦があちらこちらで展開されておりました。

※コシアキトンボ
千葉市レッドリスト・C(要保護生物)


▽コシアキトンボに関する過去の記事

コシアキトンボの未成熟個体 2012.5.31

コシアキトンボ 2011.7.16

Category: 昆虫類・トンボ目

16:50 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ウキクサ

2012.06.26(Tue)

田んぼにはびこるウキクサは、日光を遮って水温を下げ、稲の生育を阻害するとして除草の対象となります。あるいはまた、他の水田雑草の生育をも阻害するという面から、このウキクサ自体の除草効果をとりあげられることもあります。

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(20120625 千葉市若葉区)

いずれにせよ、通常は分裂による無性増殖で、とにかくよく増える植物です。金魚の水槽のなんぞにちょいとひとすくい入れておいたら、あっというまに大繁殖、なんて経験をされた方も多いことでしょう。手間がかからずに増えてくれるので、子供向けの教材とかには大変便利でもあります。上から見ていると葉っぱだけが浮いているようだけれども、実はこれは葉と茎が合わさった「葉状体」という形態です。この中には空気が入っており、それでもって浮かぶわけです。

実はこのウキクサ、サトイモに近い植物でして、最近の分類体系ではサトイモ科に含められたりもしています。同じように水面に浮かんでいる植物でも、オオアカウキクサなどは水生シダ植物、イチョウウキゴケなどはコケ植物のほうに属しており、これとはだいぶ違った仲間です。

Category: 水生植物

14:41 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

クロホシタマムシ

2012.06.24(Sun)

この日は、ちょっと珍しい昆虫に出会うことができました。クロホシタマムシです。

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(20120623 千葉市若葉区)

体長は1cmくらいです。なりは小さくても、確かにタマムシの形をしていますね。広葉樹の伐採木や枯木から発生する、里山の虫です。私の拙い写真では到底表現できませんが、光線の当たり方によって体色が微妙に変化して見え、実に綺麗でした。

Category: 昆虫類・甲虫目

10:25 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

イチヤクソウ

2012.06.23(Sat)

夏も少しずつ近づいてきています。谷津の斜面林の一角に、イチヤクソウが十株ばかりかたまって白い花を咲かせていました。

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(20120623 千葉市若葉区)

北海道から九州まで、明るめの林床などに生育する、イチヤクソウ科イチヤクソウ属の多年草です。高さは20cmくらいになります。

名前が「一薬草」というくらいですから当然のように薬効があり、とりわけ利尿作用のある成分を含んでいるようです。また古来、漢方では避妊剤としても用いられてきたとか。素人が興味本位で煎じてみたりしない方が良さそうです。

このイチヤクソウも、やはり菌と共生する腐生植物的な面があり、単独で鉢植えにしてもふつう育ちません。引っこ抜いて家に持って帰ったりせずに、野山で眺めて楽しみましょう。

※イチヤクソウ
千葉市レッドリスト・B(重要保護生物)

Category: 山野草

18:28 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

オシドリの母子

2012.06.19(Tue)

谷津の奥の池に、親子連れのカモ・・・や、オシドリだ。

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(20120618 千葉市若葉区)

母親と、雛が1、2、3・・・7羽います。

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(20120618 千葉市若葉区)

母親は少し引いて見守ったり、物音がすると雛たちをまとめて挺水植物の後ろに連れていったり、物音がしなくなるとまた自分が先に出て、それから雛を呼ぶような行動をしたりしています。

・・・いつもあんまり言うことを聞いてない奴が1羽います。

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(20120618 千葉市若葉区)

動画にも撮ってみました。



オシドリと言えば「おしどり夫婦」。しかし、現実には、こうした子育ての季節にはペアは解消されており、育児はもっぱら雌が行うようです。その頃雄はどうしているかというと、「エクリプス」といって羽が雌そっくりの地味なものに抜け変る途中で、

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(20120618 千葉市若葉区)

・・・なんだか落ち武者みたいになっちゃってるのであります。

※オシドリ
環境省レッドリスト・DD(情報不足)
千葉県レッドリスト・B(重要保護生物)
千葉市レッドリスト・C(要保護生物)


▽オシドリに関する過去の記事

浅瀬で採餌するオシドリ 2012.4.30

夏羽のオシドリ 2011.7.21

オシドリのエクリプス 2010.6.30

田んぼのオシドリ 2010.5.12

オシドリ@鹿島川 2009.4.21

オシドリ 2009.1.1

Category: 鳥類

17:20 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

クサフジ

2012.06.18(Mon)

畑のへりで、クサフジの花が満開です。

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(20120617 千葉市若葉区)

日当たりの良い場所に生育するマメ科の多年草です。ご覧の通りフジによく似ているので「草」フジ、というわけです。草丈は時に150cmにも達します。

若い芽や若い葉は食用になるそうですが、一方でこのクサフジ、下剤として薬用にもなるみたいなので、あまりウカツに引っこ抜いてやみくもに料理しないほうが良いかもしれません。

Category: 山野草

17:25 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

キイロクビナガハムシ

2012.06.17(Sun)

キイロクビナガハムシは、春から夏の間、林縁などでよく見られる体長7、8mmのハムシです。

しかしそれにつけてもどうも納得いかないのがその名前。

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(20120614 千葉市若葉区)

・・・ご覧の通り、全然黄色でも何でもないんですよ。

ヤマノイモなどの葉を食草としています。幼虫は集団性がありいつも群れていて、なんとも判然としないぶにょーんとした形で、背中にはいつも自分の糞を乗せているという、我々には理解しがたいハイレベルな美意識を持ったひとたちです。

Category: 昆虫類・甲虫目

20:31 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

トビズムカデ

2012.06.16(Sat)

ふと足元を見下ろすと靴のまん前を・・・うおっとっとっと。

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(20120614 千葉市若葉区)

トビズムカデは最大だと20cmくらいにまでなりますから、この写真くらいのでもそんなに大きいわけではありません。昆虫などの無脊椎動物の他、両生類、爬虫類、時にはネズミなどの哺乳類さえも捕食します。人間の営みという点からすると農業害虫をたいそうな量、食べるので益虫と言えます。

一方で咬まれるとめちゃくちゃに痛いのですが、その毒は溶血性タンパク質とヒスタミン様物質を含んでおり、アレルギー症状を起こすこともあります。咬まれた場合にはハチに刺された場合と同様、抗ヒスタミン剤を含むステロイド軟膏を塗布し、症状がひどい場合は病院に行きましょう。

Category: 多足類

11:45 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

ニホンイシガメの日光浴・2012年

2012.06.15(Fri)

スッポンの項でも何度か書いた通り、カメの仲間はわりあい毎日の生活がルーティーン化しているというか、日光浴などほぼ毎回同じ場所で行っていることが多いです。

スッポンがいるのと同じ河川の同じ区間には、当然のようにアカミミガメ、そしてクサガメ、ニホンイシガメも住んでいます。その中でひときわ目立つ大きなイシガメがおり、今年も今月の初めごろから、前年までと同じ場所に日光浴に出てくるようになりました。

P6147151.jpg P6147162.jpg
(20120614 千葉市若葉区)

「ああ、今年も会えたなあ」と思うと、なんだかほっとします。

現在まで、晴れている日にはだいたい毎日出てきています。この場所は川の中洲の砂地で、他にもたくさんのカメが集まります。運が良ければ在来種・外来種問わず千葉市内に生息するメジャーな種類のカメを一度に観察できるという、私のような人間にとっては大変ありがたい場所です。

※ニホンイシガメ
環境省レッドリスト・DD(情報不足)
千葉県レッドリスト・A(最重要保護生物)
千葉市レッドリスト・A(最重要保護生物)


▽ニホンイシガメに関する過去の記事

ニホンイシガメの日光浴・2011年 2011.5.20

ニホンイシガメ@綿打池 2011.4.13 

ニホンイシガメの日光浴・11月 2010.11.30

ニホンイシガメの日光浴 2010.7.25

ニホンイシガメ@都川 2010.5.5

ニホンイシガメ@都川 2010.4.20

ニホンイシガメ@不忍池 2009.9.11

ニホンイシガメ@綿打池 2009.7.18

Category: 爬虫類

17:32 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ヒメアシナガコガネ

2012.06.14(Thu)

ヒメアシナガコガネは北海道から九州まで広く分布している普通種ですが、にもかかわらず野外で見つけて図鑑で調べても「あれ?載ってない?」なんてことがあるかもしれない種です。なぜなら、体色にたいへん多様な個体間変異があるからです。

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(20120612 袖ヶ浦市)

この写真の個体のようにかなり白っぽいものから、もっとずっと色の濃いもの、さらに斑紋もあったりなかったりするので、時には二匹が一緒にいても同種だとは思えないほどです。

体長は1cm弱ほど。成虫はいろいろな花に集まって花粉や蜜を食べ、幼虫は地面の下で草の根をかじって暮らしています。

Category: 昆虫類・甲虫目

17:27 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

シモツケ

2012.06.13(Wed)

降りしきる雨の中、谷津田の林縁ではシモツケが淡紅色の鮮やかな花を咲かせていました。

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(20120612 袖ヶ浦市)

北海道から九州まで、主に山地の日当たりの良い場所に自生するバラ科の落葉低木です。綺麗で頑丈なため、公園などにもよく植栽されていますね。

名前の「シモツケ」というのは「下野」、つまり栃木県の旧名のことでして、下野国で最初に見つかったからとも、下野国産のものが古くから流通していたためとも言われます。千葉県内では、房総丘陵でよく見られます。その開花時期は、ちょうど梅雨時と重なっています。

Category: 山野草

21:45 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ニホンアカガエルの上陸・2012年

2012.06.12(Tue)

春先の寒波や、前年から続く乾燥化の影響でしょうか。今年は千葉市郊外ではニホンアカガエルの産卵数自体が非常に少ない場所が多く、場所によっては10分の1以下になっているところさえあります。

一つの卵塊には数百個の卵が含まれていますので、いくつかの卵塊が何とかまとまって育てば変態上陸する個体数はそれなりのものになりはします。この谷津では、1枚の田んぼからのみ、子ガエルたちがぴちぴちと変態上陸の真っ最中でした。

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(20120610 千葉市若葉区)

例年でしたら、谷津全体がこうした子ガエル「足の踏み場もない」ような状況になるのですが・・・。

ニホンアカガエルは、変態からしばらくは生まれた田んぼのそばにとどまります。そしてやや成長すると少し水から離れ、近辺の林床などに散っていきます。時には、生まれた田んぼから数百メートルも離れた場所で生活している個体もあります。

※ニホンアカガエル
千葉県レッドリスト・A(最重要保護生物)
千葉市レッドリスト・A(最重要保護生物)


▽ニホンアカガエルに関する過去の記事

ニホンアカガエルの孵化・2012年 2012.3.13

ニホンアカガエルの卵塊・2012年 2012.2.10

ヤマカガシ、ニホンアカガエルを捕食する 2011.10.12

ニホンアカガエルの遅い産卵 2011.4.20

ニホンアカガエルの孵化・2011年 2011.3.8

ニホンアカガエルの卵塊・2011年 2011.2.19

庭のニホンアカガエル 2010.10.20

鹿島川沿いの田んぼにおけるカエルの卵塊 2010.3.13

ヤマカガシ、ニホンアカガエルを捕食する 2010.3.4

休耕田のニホンアカガエルの卵塊 2010.2.20

ニホンアカガエルの卵塊・2010 2010.2.4

千葉市の両生類 2010.1.24

ニホンアカガエルのいろんな体色 2009.9.5

ニホンアカガエルの幼体 2009.6.1

ニホンアカガエルの卵塊@大草谷津田生きものの里 2009.2.2

秋の田んぼのニホンアカガエル 2008.10.28

ニホンアカガエル 2008.9.9

ニホンアカガエルの上陸 2008.6.2

ニホンアカガエルの卵塊 2008.2.28

Category: 両生類

20:22 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

ニホンイタチの足跡

2012.06.11(Mon)

この6月10日朝は、前日の雨のおかげで「足跡運」が良く、ハクビシンの足跡の他にイタチの足跡も見つけることができました。

P6107108.jpg
(20120610 千葉市若葉区)

華奢でほっそりした、モミジ型の足跡です。ひょこひょこと跳ねるように歩き、農道脇の泥の上をゆき、草むらの中に消えています。斜面林のどこかに巣があるのでしょう。イタチは基本的には水辺環境に依存している捕食動物で、里山では水路や田んぼで様々な小動物を狩り、時には潜水して魚を捕えることもあります。同じような環境で同じようなものを食べる、特定外来生物・アライグマが進出してくると姿を消してしまう傾向もあるそうです。何しろウェイトが全然違うので、体力面でアライグマの敵ではありません。

昨日記事にしたハクビシンもそうですが、野生の哺乳類は、例えそこに生息していても実物を目の当たりにする機会はなかなかありません。でも、こうした足跡や糞などを見つけて、どこから出てどこへ行ったか、何を食べたかなど想像するのはとても楽しいことです。

※イタチ
千葉市レッドリスト・B(重要保護生物)


▽ニホンイタチに関する過去の記事

ニホンイタチ 2010.12.21

Category: 哺乳類

18:03 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

泥の上に残るハクビシンの足跡

2012.06.10(Sun)

ハクビシンの足跡についてはこの間も取り上げましたが、今朝は前日の雨に濡れた泥の上に、より鮮明でわかりやすい足跡を見つけました。

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(20120610 千葉市若葉区)

水の涸れた土水路の脇を歩き、台地の上の畑へと登って消えています。

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(20120610 千葉市若葉区)

前足の跡に後足を重ねて歩いていった様がくっきりと見てとれます。実物を見るとわかるのですが、ハクビシンの足の裏というのは、指の恰好といい全体の形といい、人間の赤ちゃんの足の裏そっくり。指はよく動き、物をつかみ、高所によじ登ることができます。雑食性で、小動物を襲って捕食したりする一方、果実や野菜を好み、果樹園や畑に被害をもたらすことは周知の通り。千葉市郊外でも、農耕地でその痕跡に出会う機会は、ここ数年飛躍的に増えつつあります。

▽ハクビシンに関する過去の記事

ハクビシンの足跡 2012.4.7

ハクビシンの幼獣(死体) 2009.10.1

Category: 哺乳類

21:01 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

卵嚢を保護するアズマキシダグモ

2012.06.09(Sat)

アズマキシダグモは、網を張らずに植物上などで獲物を待ち受けて捕食する、徘徊性のクモです。体長は大きくても1.5cmくらいなのですけれど、クモというのは脚が長いのでもっと大きく見えます。その体色や模様には実に様々な個体間変異があります。

何やら白いカタマリをくっつけて歩いているのに出会いました。

P6087078.jpg
(20120608 千葉市若葉区)

これは、「雌が卵嚢を保護しているの図」です。しばしば「卵を抱いて歩いている」というふうに表現される光景ですが、実は抱いているのではなく口でくわえているのです。雌はこの後、孵化の頃になると植物の葉に糸で簡素な網を作って卵嚢を固定し、孵化するまで見守るのです。

▽アズマキシダグモに関する過去の記事

アズマキシダグモ 2011.3.4


Category: 鋏角類

11:32 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

清澄庭園のスッポン

2012.06.08(Fri)

7月から清澄白河でインターネット放送の新しいイベントを立ち上げることになりまして、昨日はその企画会議でした。

会議の前にがんばって2時間作り、清澄庭園へ行きました。お目当てはここの池にいるスッポンです。日頃、千葉市内の河川でスッポンを追いかけておりますが、日光浴している以外の状態のスッポンを間近でじっくりと観察する機会はまずありません。野外におけるスッポンがどんなふうに動くかこの目でできるだけ見て、スッポン経験値を上げたいと思ったのです。

初めて足を踏み入れる清澄庭園は、昔のえらい人がお金をかけて造成したものですから、あたりまえですが綺麗なところでございました。池にはカワウ、アオサギ、カルガモ、大きいというよりも太いコイたちをはじめ様々な魚、テナガエビの姿もあります。

スッポン、いました。

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(20120607 東京都江東区)

日頃スッポンスッポン言ってるくせに恥ずかしい話ですが、開放水面でのびのびと泳ぐスッポンをこうして眺めたことは、実は一度もありません。ふんふんなるほど、頸を伸ばしてこうやって泳ぐのか、と初歩的な感動。

このスッポンはおそらく甲長30cm程度の、けっこう大型の個体でした。ところへ、さらにえらくでかいやつがぬぼーっと浮かび上がってきました。

P6076933.jpg P6076934.jpg
(20120607 東京都江東区)

清澄庭園には巨大なスッポンがいる、と聞いていましたが、どうやらこのひとのようです。まるでウミガメのような迫力。魚群を従えるようにしながら、岸に沿って悠然と泳いでいきます。

P6076942.jpg
(20120607 東京都江東区)

割石の上で一休み。

P6077036.jpg P6077037.jpg
(20120607 東京都江東区)

この巨大スッポンの素性はいったいどういったものでしょう。この池には、アカミミガメの次にたくさんいるんじゃないかと思うくらい、大小さまざまなスッポンが暮らしています。その多くは、来園者が投げる餌に積極的に集まってくるような ――― いわゆる『奈良の鹿』状態で ――― 人なつっこい動きをしているのですが、この一番大きなのだけは、かなり警戒心を残しているようです。カメラで撮られていることを明らかに意識していたスッポンは、この池でこのひとだけでした。

チュウゴクスッポンはニホンスッポンほど大きくなりませんから、やはり元来野生の個体にせよ飼養下からの逸走個体にせよ、その正体はニホンスッポンの特別大きな個体、と考えるのが一番整合性があるでしょう。スッポンの寿命は大変長く、100年にも達すると言われることもあります。爬虫類基本ルール・「死ぬまで成長し続ける」ことからして、こんなに大きいのはさぞ長生きしてきたに違いないことは確かです。隅田川の水を引き入れて清澄庭園の大泉水が完成したのは明治時代ということです。まさかとは思うけれど、ことによるとその頃から生きていたのかもしれません。

ところで、スッポンは高度に水中生活に適応した特殊なカメです。下の写真、なんだかわかりますか?

P6077013.jpg
(20120607 東京都江東区)

引いてみるとこうです。ちょうどワニやカバと同じように、目と鼻だけを水面上に出せる仕組みになっているのです。(さっきの巨大スッポンとは別亀です)

P6077010.jpg P6077011.jpg
(20120607 東京都江東区)

こういうのを見ていると、ネス湖のネッシーを初め世界中にたくさんある「首の長い湖の怪獣」の伝説のいくつかは、未知の種の超巨大なスッポンじゃないか、なんて妄想も頭をもたげてきます。長い首、四つの鰭、丸っこい身体など、多くの点が符合します。冬眠動物だからかなり寒いところにも住めるはずです。現生のスッポンの中にも、甲長1m半を越えるような種も実在するのですから、首長竜が生き残っているというよりは真実味があるんじゃないでしょうか。

※スッポン
環境省レッドリスト・DD(情報不足)
千葉県レッドリスト・情報不足
千葉市レッドリスト・X(消息不明・絶滅生物)


▽スッポンに関する過去の記事

スッポンの「小田さん」 2012.5.25

スッポン・2012年 2012.3.30

スッポンの日光浴・その2 2010.7.28

スッポンの日光浴 2010.7.16

スッポン 2010.5.13

Category: 爬虫類

17:55 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ゲンジボタル

2012.06.04(Mon)

さて、昨日のサイエンスセミナー、いつも自分が調査している場所であっても、目玉と腕が多いと短時間でいろいろな生き物に出会うものです。終了間際に今度は受講生の子供さんのお父様が網を一振りし、「この虫は何ですか?」

ゲンジボタルです。パチパチパチ。

P6036900.jpg ゲンジボタル
(20120603 袖ヶ浦市)

・・・昼なので光ってません。

ホタルというのは小さな昆虫です。ゲンジボタルは、ヘイケボタルよりは大きいとは言え体長1.5cm程度です。幼虫が主に止水で発生するヘイケボタルに対し、こちらは流水に発生し、カワニナを餌にして1年間かけて成長します。ヘイケボタルよりも季節的に早い時期に成虫が出現し、羽化後の寿命は2週間程度でしかありません。羽化後は何も食べず、水分を摂取するのみです。

「ホタルが住める自然」を復元する、というお題目はあちこちで非常にしばしば目にします。大変素晴らしいことです。しかしその目的は、あくまで「パッケージとしてのその地域の生態系の中で、ホタルが健全に生息できるような環境を復元する」ことでなくてはならないのは言うまでもないことと思います。

何でもいいからとにかくホタルを見てみんなで喜びたい、というのでは本末転倒ですが、残念なことにそこらへんがすり替わってしまっている事例がないとは言えません。時には、他の地域の野生のホタルをごっそり捕まえてきて自分たちの住んでいる地域に放して鑑賞会をやったりしている人たちもいます。これでは貴重な山野草を採掘して自分ちの庭に植えているようなのと行為のレベルが変わらないばかりか、単純に遺伝子汚染をせっせと推進しているのと同じことです。ホタルを放流するような事業には、ほぼ必ず「次代の子供たちのために」というキャッチフレーズがつきます。善意というフィルターのかかった行為は、時として悪意によるものより悲惨な結果をもたらします。悪意にストップをかけるより、善意にストップをかける方がはるかに困難だからです。

※ゲンジボタル
千葉県レッドリスト・B(重要保護生物)
千葉市レッドリスト・X(消息不明・絶滅生物)


Category: 昆虫類・甲虫目

21:17 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

コオニヤンマのヤゴ

2012.06.03(Sun)

この谷津田では昨年来、生物調査を請け負わせて頂いておりまして、定期的に足を運んでおります。

調査を始めたばかりの昨夏にはコオニヤンマの成虫を何度も確認しています。ヤゴも出るんじゃないかなーということで、「このへんだろ」とアタリをつけた水路をガサガサしても、網に入るのは他のトンボのヤゴばかりでございました。

ところが、本日同地でサイエンスセミナーがございまして、受講生の小学生男子が、まさに私がアタリをつけていたその場所で網を一振りし、「これ、何ですかー?」

P6036891.jpg P6036893.jpg
(20120603 袖ヶ浦市)

・・・。

まさしく、これがコオニヤンマのヤゴであります。平べったい特異なスタイルをしており、知らなければ一見してヤゴにすら見えませんね。日頃は流水の底の砂礫の中に隠れて暮らしています。羽化には二年ほどかかります。

成虫となったコオニヤンマは、確かにオニヤンマに似ていますが、オニヤンマ科でもければヤンマ科でもありません。実際にはサナエトンボ科に属しており、日本最大のサナエトンボでもあるのです。

▽コオニヤンマに関する過去の記事

コオニヤンマ 2009.6.15

Category: 昆虫類・トンボ目

20:56 | Comment(2) | Trackback(-) | EDIT

プロフィール

Author:大島健夫
1974年11月20日生まれ。千葉生まれ千葉育ち。美浜区在住。

記述の中に間違いや誤解を見つけた方、またそれ以外にも何かございましたら、どうか
inaka_jikan@yahoo.co.jp
まで送っていただけると幸いです。

大島健夫公式サイト

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