ブルーギル

2012.08.27(Mon)

ブルーギルを初めて日本に持ち込んだのは、今上天皇陛下です。1960年、当時皇太子であった明仁親王が、訪米中にシカゴ市長より15尾を贈られ、水産庁の研究所に寄贈し、のち静岡県の一碧湖に放流されたのが全ての始まりでした。現在国内で繁殖している全てのブルーギルはこの際の15尾の子孫であることが、三重大学生物資源学部の河村功一准教授らによるミトコンドリアDNAの分析により明らかにされています。

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(20120825 千葉市緑区)

陛下が日本に持ち込んだのは、味がよく美味しい上たいへん釣りやすいので、都会の子供たちに釣りを楽しんでもらえれば・・・とのお考えからであったということです。1960年というのは、日米新安保条約が成立したり、社会党の浅沼稲次郎党首が暗殺されたり、池田内閣が所得倍増計画を掲げたりした年です。敗戦から15年、日本はいまだ食糧難の時代でした。

その後ブルーギルは、釣り人や釣り業者の手によるブラックバスの餌としての放流、また水産試験場などからの逸走その他の要因により、ドボドボと拡散されていったのは周知の通り。現在、国内には驚くなかれ数億尾が生息しているということです。

ブルーギルの「ブルー」というのは、エラ蓋の部分の青い斑紋に由来します。肉食寄りの雑食で繁殖力極めて旺盛、汚染にも強く、自分の卵は守り他の魚の卵は食べてしまうなどの性質から、生態系に与えるダメージはブラックバスよりもむしろ上だと考えられています。

2007年、天皇陛下は第27回全国豊かな海づくり大会において、自らがこの魚を最初に持ち帰ったことに言及した上で「今このような結果になったことに心を痛めています」と発言されました。大会が開催された滋賀県は、いうまでもなく琵琶湖を抱え、ブルーギルによる害が最も直接的かつ深刻な形で現れている県のひとつです。その来歴からかつて「プリンスフィッシュ」と呼ばれた魚は、今では全国の水場を席巻し、特定外来生物に指定されています。その無許可での飼養、販売、野外へ放つなどの行為に対しては、個人には3年以下の懲役や300万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金が科されることとなっているのです。

※ブルーギル
特定外来生物

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Category: 魚類

21:18 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ジャノメチョウ

2012.08.26(Sun)

ジャノメチョウというといかにも普通種という感じがするし、模様もとても地味なのだけれど、実は近年減少著しく、千葉市近郊ではあまり姿を見なくなりつつあります。これは、本種の好む明るい草原や河川敷などの環境が悪化していることに原因があるとされています。

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(20120825 千葉市緑区)

体格は意外に大きく、ヒョウモンチョウと同じくらいのサイズがあります。この写真の個体は雌で、雄はもっとくすんだ色をしており、「蛇の目」紋も明瞭さを欠きます。現在、千葉県・千葉市とも、レッドリストには「C(要保護生物)」として記載されています。

※ジャノメチョウ
千葉県レッドリスト・C(要保護生物)
千葉市レッドリスト・C(要保護生物)

Category: 昆虫類・チョウ目

17:44 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

アオモンイトトンボ異色型♀・未成熟個体

2012.08.25(Sat)

何度かこのブログでも取り上げた通り、アオモンイトトンボとアジアイトトンボはまことにそっくりです。加えて、アオモンイトトンボの雌には、雄と同じカラーリングになる同色型、雄とは異なるカラーリングになる異色型の二種類があり・・・などと書いているだけでなんだかよくわかんなくなってきますね。

とりわけややこしいのは、アオモンイトトンボの「異色型」の雌とアジアイトトンボ雌の区別です。しかもこれが、未成熟な時にはどっちも頭胸部がきれいなオレンジ色をしているときたもんだ。

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(20120825 千葉市緑区)

区別するには腹部背面を見る必要があり、アジアイトトンボでは黒条がずーっと、翅の付け根まで続いてますが、アオモンイトトンボではこれが写真のように腹部第二節の途中で途切れているので、上から見ると腹部背面の頭胸部に近い部分にもオレンジ色の部分があります。

この二種類、ほぼおんなじようなところに生息していますが、アオモンイトトンボのほうがわずかに大きく、脚なども逞しい感じがします。アオモンイトトンボというのはわりかし獰猛なトンボで、しばしばアジアイトトンボを襲って捕食していることもあります。

▽アオモンイトトンボに関する過去の記事

アオモンイトトンボ 2011.7.11

Category: 昆虫類・トンボ目

18:07 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

夏の終わりとミドリヒョウモン

2012.08.24(Fri)

ミドリヒョウモンは、房総半島では梅雨の季節から成虫が発生しますが、暑い夏の間はほとんどお目にかかりません。なぜなら、「夏眠」して暑さをやり過ごしているからです。

お盆明けから、暗く涼しい森の中で出会う機会が徐々に増えてきました。

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(20120824 千葉市若葉区)

6月頃と違い、秋に活動する個体はたいていこのように翅がボロくなっています。ひと夏を生き抜いた彼らは交尾・産卵して次代に命を繋いでゆくのです。

※ミドリヒョウモン
千葉県レッドリスト・C(要保護生物)
千葉市レッドリスト・B(重要保護生物)


▽ミドリヒョウモンに関する過去の記事

ミドリヒョウモン(♀) 2011.6.24

ミドリヒョウモン 2010.9.19

Category: 昆虫類・チョウ目

17:55 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

チョウトンボ

2012.08.23(Thu)

だいたいにおいて、人間の目というのは、わりと決まったものしか見ていないものです。私など千葉の田舎で生まれ、さんざんあたりをうろついて育ち、なんだって知っているつもりでしたが、チョウトンボなるものがその自分の生まれ育った家の近所に沢山生息していることを知ったのはたった三年前のことでした。

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(20120822 千葉市若葉区)

チョウトンボは、抵水植物の多い池や沼で発生します。この写真を撮った池と、そこから数キロ離れた別の池にはずいぶんな数が生息していますが、千葉市内の確実な産地はおそらく十指に満たないことでしょう。

この写真の個体は雄で、雌はさらに腹部が短く、いっそうチョウのような姿です。藍色の金属光沢を帯びた翅は日光の当たり方によってその色を微妙に変化させ、多数の個体が水面上をひらひらと飛ぶ光景はいつ見ても素晴らしいものです。

※チョウトンボ
千葉県レッドリスト・D(一般保護生物)
千葉市レッドリスト・B(重要保護生物)


▽チョウトンボ

チョウトンボ 2011.7.13

Category: 昆虫類・トンボ目

17:08 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

色づくナツアカネ

2012.08.22(Wed)

八月もあと一週間ほど。里山で見かけるナツアカネたちは、少しずつ赤く色づいてきました。

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(20120822 千葉市若葉区)

だいたい夏休みの半ばあたりまでは、オレンジ色をしているナツアカネは、成熟すると体色が赤くなり、いかにも「赤トンボ」という感じになります。特に雄は全身がほぼ真っ赤に染まります。

これは、彼らの一生のクライマックスが迫ってきたことを示しています。稲刈りの終った頃、田んぼでは彼らの交尾・産卵風景が見られます。ナツアカネは一年に一世代型であり、次の年の初夏には、またオレンジ色の成虫が羽化し、ひと夏かけてゆっくりと赤く染まってゆくのです。

▽ナツアカネに関する過去の記事

ナツアカネの交尾 2010.10.13

シオカラトンボ(♀)、ナツアカネを捕食する 2010.8.21

ナツアカネ 2009.8.15

Category: 昆虫類・トンボ目

21:18 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

水中のタイコウチ

2012.08.17(Fri)

ひとくちに肉食性の水生カメムシといっても、その獲物の捕え方にはさまざまなバリエーションがあります。水面上を走り回るアメンボの仲間、背泳ぎで水面に落ちてくる獲物を探すマツモムシ、表層部分を泳ぐ獲物を待ち伏せするミズカマキリなど。

タイコウチもやはり「待ち伏せ型」です。こんなスタイルで待ち伏せています。

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(20120817 袖ヶ浦市)

お尻に細長く突き出た「呼吸器」を忍者のように水面上に突き出し、下に向かって鎌を構え、水底の動物を狙うのです。そのため、浅い場所を好みます。背中には泥というかゴミのようなものまで背負ってカムフラージュも万全です。

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(20120817 袖ヶ浦市)

すくい上げて泥を落としてやるとこの通り。まことにカッコいいのですが、こうして綺麗な姿でシャカシャカ泳いでいたんではお仕事になりません。けっこう素早く泳ぐこともできるのだけれど、待ち伏せの際は全く不動です。野生の動物、特に肉食の動物は、運動のための運動ということは一切やらないのです。

▽タイコウチに関する過去の記事

タイコウチ 2011.9.1




Category: 昆虫類・カメムシ目

22:03 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

アキアカネ

2012.08.14(Tue)

アキアカネは、北総地域で見られる赤トンボの中でも大変に珍しいトンボです。

と書くと、「えーっ」と思われる方が多いことでしょう。しかし、2012年現在、それは事実です。ここ数年のアキアカネの減少は文字通り割り算のような勢いで、今では千葉の里山では滅多に出会うことのできないトンボになっているのです。

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(20120814 千葉市若葉区)

千葉に限ったことではなく、実はアキアカネの減少は全国的な現象です。その原因には、田んぼの圃場整備や減反による産卵環境の悪化、地球温暖化など様々取り沙汰されてきました。しかし近年、最も有力視されているのが、ミツバチの減少などとも絡めて論ぜられている浸透性農薬、この場合、具体的には稲の苗箱処理剤、フィプロニルです。これがアキアカネの卵、幼虫に及ぼす影響については既に多数の論文があります。

「プリンス粒剤」という名で売られているのが、それです。

▽アキアカネに関する過去の記事

アキアカネの減少 2010.10.8

オオカマキリ、アキアカネを捕食する 2009.10.29

アキアカネの未成熟個体 2008.6.19

Category: 昆虫類・トンボ目

21:51 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ヤマトタマムシの交尾

2012.08.10(Fri)

農道のまんなかあたりに何かキラキラしたものがあると思ったら、タマムシのカップルが愛し合っているところでした。

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(20120809 千葉市若葉区)

タマムシはよく、真夏の暑い日中に木の梢のあたりを飛んでいるのを見かけます。あれは実は雌を探している雄で、出会いがうまくいくとこのように交尾を行います。産卵はエノキやケヤキなどの枯木や伐採木に行われ、幼虫は材質を食べて成長するのです。

タマムシといえばこの綺麗な翅ですが、このキラキラした色彩は色素によるものではなく、体表に幾層もの薄い膜があり、これによって光が特定のパターンの反射をするために現れるもので、「構造色」と呼ばれるものです。この虫が「見る角度や光りの当たり方で色が異なって見える」というのは実はそのためで、色素による色彩と違い、構造色による色彩は年月が経っても劣化しません。昔のお年寄りにはよく、おまじないのためにタマムシの翅を箪笥に入れている人がいましたが、数十年経ってもやっぱり「玉虫色」をしているものです。

もっとも、法隆寺の「玉虫厨子」は、使用していたタマムシの翅自体がほとんど失われており、現在ではすっかり渋くなってしまっていますが・・・

※ヤマトタマムシ
千葉市レッドリスト・C(要保護生物)


▽ヤマトタマムシに関する過去の記事

路上のヤマトタマムシ 2011.7.23

まだいるヤマトタマムシ 2010.10.4

ヤマトタマムシ 2010.9.20

Category: 昆虫類・甲虫目

20:04 | Comment(3) | Trackback(-) | EDIT

ヤマカガシ、ウシガエルを捕食する

2012.08.09(Thu)

先月、ウシガエルがヤマカガシを捕食する模様を取り上げましたが、やはり通常はヘビがカエルを食べる光景の方が数としてはずっと多いことでしょう。

林縁で、ウシガエルの右後肢をくわえているヤマカガシに出会いました。

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(20120808 千葉市若葉区)

ウシガエルはまだ幼体で、ニホンアカガエルの成体くらいの大きさです。動画に撮影してみました。



ヤマカガシはカエルの右の後肢を確保しつつ、何度もくわえ直しながら顎を大きく開いてカエルの体を少しずつ引き込んでゆきます。カエルは懸命に踏ん張り、時折激しく暴れるものの、なかなか逃れることはできません。時折野外で見かける、片方の後肢の欠損したカエルは、このような事態から運良く逃れることのできた個体だったりするのでしょう。それにしてもヘビの顎関節というのは実によく開くものです。ヘビはある程度カエルの体を引き込むと、外に出ている左後肢をもまとめてくわえ込もうとしています。最後の方に足音が入っていますが、途中で通りすがりの人が近づいてきて、ヘビはカエルをくわえたまま斜面林の中へ登っていってしまいました。

それにしても、この現場は、直近の水辺から200mほども離れています。ウシガエルでもそれほど水辺から離れることがあるということも、新しい発見でした。

※ヤマカガシ
千葉県レッドリスト・D(一般保護生物)
千葉市レッドリスト・C(要保護生物)


▽ヤマカガシに関する過去の記事

ウシガエル、ヤマカガシを捕食する 2012.7.17

ヤマカガシ、ニホンアカガエルを捕食する 2011.10.12

泳ぐヤマカガシ 2011.9.18

威嚇するヤマカガシ 2011.5.23

ヤマカガシ、ニホンアマガエルを捕食する 2011.5.15

ヤマカガシのとぐろ 2010.11.1

田んぼのヤマカガシ 2010.5.26

ヤマカガシ、ニホンアカガエルを捕食する 2010.3.4

ヤマカガシの幼体 2009.8.24

ヤマカガシの多い日 2009.7.7

ヤマカガシ@原田池 2009.5.4

ヤマカガシ 2008.5.30

Category: 爬虫類

20:44 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

鳴くアブラゼミ

2012.08.08(Wed)

夏真っ盛りです。暑いですね。

暑い時には、暑そうな音を聴くとマイナス×マイナスでプラスとなり、涼しくなるやもしれませぬ。そんなわけで、北総地域では夏といえばこのセミ、アブラゼミさんの独唱のご様子をご覧ください。



・・・とまってるのは電柱です。

そもそも、『油蝉』という名前がどうも暑苦しいですね。この名前の由来には二つの説があり、「翅が茶色くて脂っこい色だから」とも、「鳴き声が油を炒めてるような音だから」とも言われます。どっちにしても、クーラーの効いてない中華料理屋さんかなんかを連想させるものがあります。

もっとも、彼らにとっては、我々などがどう感じていようが知ったこっちゃないことでしょう。何しろ6年間を地中で過ごし、羽化後は10日ばかりで寿命を迎えてしまうのですから。彼らは鳴くのがかっこいいと思って鳴いているのでもないし、不満や愚痴を歌にしているわけでもありません。全ては子孫を残すためなのです。

▽アブラゼミに関する過去の記事

3月1日・アブラゼミの死骸 2012.3.3

アブラゼミの交尾・2010 2010.8.15

キイロスズメバチ、アブラゼミの死骸に集まる 2010.8.13

アブラゼミの羽化 2009.9.20

夏と言えばアブラゼミ 2009.8.2

アブラゼミの交尾 2008.8.18

Category: 昆虫類・カメムシ目

20:53 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

ノコギリカミキリ

2012.08.05(Sun)

ノコギリカミキリも巨大なカミキリです。体長は時に5cm近くまで達し、また『肩幅』がけっこうあって頑丈そうな体格なので実際のサイズよりも大きく見えます。

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(20120805 千葉市若葉区)

ノコギリの歯のような触角がその名の由来とされていますが、胸部側面にあるギザギザの突起もやはりノコギリっぽいです。針葉樹の枯木や伐採木で発生し、灯火にもよく集まります。大顎が大きくて力が強く、噛まれると痛いのでお気をつけ下さい。もっとも基本的には性格のおとなしい虫ですので、こうして木にとまっているところを指でつついたりしても、普通はとてとてと不器用な歩き方で逃げてゆくだけです。

Category: 昆虫類・甲虫目

23:18 | Comment(0) | Trackback(-) | EDIT

プロフィール

Author:大島健夫
1974年11月20日生まれ。千葉生まれ千葉育ち。美浜区在住。

記述の中に間違いや誤解を見つけた方、またそれ以外にも何かございましたら、どうか
inaka_jikan@yahoo.co.jp
まで送っていただけると幸いです。

大島健夫公式サイト

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