ニホンアナグマの轢死体

2011.07.30(Sat)

28日の朝、路上に動物の轢死体を見つけました。「タヌキかな?」と思って車を停めて降りてみて、腰を抜かしそうになりました。ニホンアナグマだったからです。


イタチ科に属するアナグマは、千葉市のレッドリストでは「X(消息不明・絶滅生物)」にランクされています。そこから引用すると、


「アナグマは1984年が最終確認である・・・(中略)・・・アナグマは森林内に巣穴を作り森林に強く依存して生活をしている。この生活を支えられる森林や草原といった環境がすでに千葉市にはないということを物語っているのであろう」


ということです。アナグマは、タヌキと比べさらに人里離れた環境に生活する動物なのです。しかし、この死体を見つけた場所は、すぐそばを鹿島川が流れ、何本かの谷津が枝分かれしたかなり深い山林を背後に控えています。このアナグマはそのあたりで生きていたのでしょうか。


DAYLIGHT RAMBLER  DAYLIGHT RAMBLER  

(20110728 千葉市若葉区)


「動物」というよりむしろ「野獣」という表現がしっくりくるような迫力があります。雨が降っていた前夜のうちに轢かれたもののようです。現場は高速道路のインターチェンジがわりと近くにあり、車がかなりの速さでビュンビュン通っています。このままにしておくと二度轢きされるかもしれないし、誰かがタヌキか変なイヌだと思って捨ててしまうかもしれません。それに何と言っても真夏だから、もたもたしているとあっという間に状態が悪くなってしまいます。幸い、車の中にたまたま段ボールと大きなタオルが入っていました。私は急遽、日中の予定を全部キャンセルしてアナグマを車に積み込み、家に飛んで帰ってビニール袋に詰め、そのまま県立中央博物館 に突撃しました。


まさにここしかない、というタイミングだったわけですが、さらに幸いなことに動物生態学・哺乳類学がご専門のO先生がちょうど在館していらっしゃいました。写真を見せると「あ、アナグマですね」ということで、すぐ対応して頂けました。


DAYLIGHT RAMBLER  

(20110728)


体重6.6kgの雄でした。もう少しずっしりと重い感じがしたのですけれど、死ぬと重く感じるようになるのは人間も動物も同じなのですね。このくらいだと普通の大きさだそうです。重さだけだと最大級のネコくらいですが、それよりずっとがっしりとしています。秋になると体重はさらに増えるとのこと。頭蓋骨は事故の際に砕けてしまっていました。


DAYLIGHT RAMBLER  

(20110728)


前脚です。この長い爪のついた逞しい足が、タヌキとの外見上の大きな相違です。これを使って地中に長い巣穴を掘るのです。1979年、千葉市動物公園の建設予定地近くでアナグマの巣穴が発見されたという事例もあります。その当時まで、アナグマは市内の各所に生息していたのでしょう。


現在でも県南部の房総丘陵地帯にはまだまとまった数がおり、狩猟捕獲もされています。しかし、近年では先に書いた通り絶滅扱いになっていた千葉市のみならず、県北部を通じて記録はきわめて少ないそうです。ということで、このアナグマは中央博に標本としてお納めしてきました。貴重な命を交通事故で散らしてしまったのは残念だけれど、本当にたまたま私が通りかかったことで、全くの無駄死ににはさせずに済むお手伝いができたのではないか、と少しホッとしています。O先生ありがとうございました。


※ニホンアナグマ

千葉県レッドリスト・C(要保護生物)
千葉市レッドリスト・X(消息不明・絶滅生物)



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Category: 哺乳類

17:16 | Comment(8) | Trackback(-) | EDIT

COMMENT

Sukeza #79D/WHSg

1. アナグマ!


千葉凄すぎですね。僕は生きてるのも見たことがありません、アナグマ。写真を見ると案外と鼻面が長いので、もしかしたら以前駅前で目撃したハナグマの親子、アナグマだったのかも知れません……。冬だったし。尻尾の縞模様も夜でよく分からなかったし。ただ鼻先が長いあんまり見たことのない動物だぞ、って感じだったので。

2011.07.30(Sat) 21:43 | URL | EDIT

オキシドラス #79D/WHSg

2. 一度確認願います。


今日の記事を拝見してふと思い出したのですが、私のブログの2010年6月10日の記事の写真を見ていただけないでしょうか?
もしかしてニホンアナグマの子供でしょうか?

2011.07.31(Sun) 01:07 | URL | EDIT

87dt surf-rider<花立毛鈎工房・波乗り部> #79D/WHSg

3. 無題


すごい大発見ですね。
私のような一般人が見つけていたら
「あ、タヌキ。かわいそうに・・・・」で終わってしまっていたところですね。

2011.07.31(Sun) 08:44 | URL | EDIT

tak #79D/WHSg

4. Re:アナグマ!


>Sukezaさん
まさかアナグマに市内で出会えるとは思っていなかったのでビックリしました。鼻、意外と長いです。
Sukezaさんが出会った動物、もう一度会ったらぜひ写真をお願いします(笑)。

2011.07.31(Sun) 17:35 | URL | EDIT

tak #79D/WHSg

5. Re:一度確認願います。


>オキシドラスさん
記事拝見しました~。
メッセージ送信しました。ご確認ください。

2011.07.31(Sun) 17:35 | URL | EDIT

tak #79D/WHSg

6. Re:無題


>87dt surf-rider<花立毛鈎工房・波乗り部>さん
本当に、縁というか巡り合わせというか、ここに書いていないことも含めてたまたま不思議な偶然が重なって関わることができました。
無駄死にに終わらせずに済んで本当に良かったです。

2011.07.31(Sun) 17:37 | URL | EDIT

スモール #79D/WHSg

7. 穴熊


と聞いて、また遠くの地のことかと思い、スルーしてましたが、本日、記事を読んで、びっくりしてます。
ニホンアナグマなる野生動物が千葉市に生息しているということは、ほかの絶滅されたと思われる生きものが、どこかでひっそり息づいている可能性もあるわけですものね。

先日、うちの畑で見かけたのは、どうやらアライグマのようです。とうもろこしやすいかが心配です。

2011.08.01(Mon) 20:32 | URL | EDIT

tak #79D/WHSg

8. Re:穴熊


>スモールさん
そうなんですよ。私程度の人間がここ二、三年そこらへんをうろうろしただけで、地域のレッドリストで絶滅扱いの生き物や、そもそも記録がなかった生き物に何度も出会うことができたのですから、他の地域でもいろいろな可能性があると思うんです。

アライグマの分布はどんどん拡大しているようですね。農作物への被害、在来生態系への被害、どちらも心配です。

2011.08.02(Tue) 19:28 | URL | EDIT

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プロフィール

大島健夫

Author:大島健夫
1974年11月20日生まれ。千葉生まれ千葉育ち。美浜区在住。

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