アライグマの足跡

2012.04.22(Sun)

谷津田の水際の泥の上に、まるで子供の手のような五本指の足跡が残されていました。アライグマです。

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(20120422 袖ヶ浦市)

アライグマといえば、昔のアニメ「あらいぐまラスカル」を思い浮かべる方も多いことでしょう。実際、それがブームの火付け役となり、相当量の個体がアメリカから輸入され、各地でペットとして飼われるようになったのです。

しかし、成長すると体重10kgに達するアライグマは、アニメでの印象やかわいらしい外観とは裏腹に、実のところほぼ猛獣に近い獰猛な性格を持ち、人にもなつきにくく、とても普通の家庭の子供に世話ができるような代物ではなかったのです。おまけにこの足跡からも想像がつく通り、細長い指で器用に物をつかむ能力を持ち、かつ木登りなども巧みで ――― つまり脱走しやすく ――― おびただしい数が野外に逃げ出し、さらに多くは飼いきれないために野外に放たれる結果となりました。

アライグマの雌は生後1年で繁殖能力を持つようになり、毎年春に2頭から8頭の子を産みます。おまけに環境適応能力が強く、日本の自然には彼らの天敵となる動物はほとんどいません。全国の山野に拡散してゆくのは必然であったと言えるでしょう。

千葉県でも年々捕獲頭数・農業被害額ともに増加しており、2011年度には1000から7000頭ほどの生息が推定されました。

アライグマは雑食性で、その存在と増加は、果樹や野菜、とりわけスイカやトウモロコシを中心に大きな被害をもたらします。ですが、それ以上に重要視しなければならないのは、在来生態系への影響という点です。タヌキ、アナグマ、イタチ、キツネといった在来の小型捕食生物との競合においては、アライグマは常に優位に立ち、それらを駆逐します。さらに、サンショウウオやカエル、またイシガメのような水辺の希少な両生類・爬虫類を積極的に捕食し、特に千葉県ではトウキョウサンショウウオやニホンイシガメに対する食害が大きな問題となっています。

かわいらしいアライグマは、様々な地域で、駆除しようとすると愛護団体から抗議の声が寄せられるといった事例が現在でも発生することがあります。

元来が人間の商業主義に利用される形で図らずも本来の生息地ではない場所でその生態系を破壊しつつある結果となっていることは、アライグマにとってはまことに気の毒なことです。その一匹一匹と、人間の側とにどちらがより大きな責任があるかは火を見るよりも明らかなことでもあります。しかし、であるからこそなおさら、ことはもはや感情論に左右されるべきではない危急性を帯びていると言えるでしょう。問題は既に発生し進行しているのであって、放置することの代償はあまりにも大き過ぎるのです。

※アライグマ
特定外来生物
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Category: 哺乳類

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大島健夫

Author:大島健夫
1974年11月20日生まれ。千葉生まれ千葉育ち。美浜区在住。

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