DAYLIGHT RAMBLER

日々に出会った様々な動植物について綴っていきます。文章及び画像の無断転載禁止。

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シオヤアブ、ニイニイゼミを捕食する

自然教室や観察会で、子供さんからしばしば頂く質問に、「一番強い昆虫は何ですか?」というものがあります。

これは、「一番強い格闘家は誰ですか?」という質問と同じで、大変に答えの出にくい質問です。空手をやれば空手家が強いでしょうし、相撲をとれば力士が強いでしょう。レスリングをすればレスラーが強いでしょうし、ボクシングをすればボクサーが強いに決まっています。あるいはまた、刀を持てば剣道家には誰もかなわないでしょうし、鉄砲を撃ってもいいなら軍人に勝つのは困難です。いや、例え素手であっても水の中で戦えば、そこらへんの格闘家なんか海女さんに溺れさせられてしまうかもしれません。総合格闘技というものも世の中にはあるけれど、あれだってジャンルとして一つの格闘技であって、その設定の中でオールマイティにその人間に内在する全ての力量を見極められるというものではないでしょう。シチュエーションが異なれば勝者はおのずと変るのです。

捕食能力の高さ、食物連鎖ピラミッドの中で占める位置の高さということで考えるなら、「強い」昆虫はたくさんいます。カマキリ、スズメバチ、大型のトンボ。水中ならタガメやゲンゴロウ。集団でもいいのならアリなんかめちゃくちゃ強いです。そんな中で、決して名前を外せないと思われるのが、今日取り上げるシオヤアブなど、「ムシヒキアブ」という仲間の、肉食性のアブたちです。

彼らは、葉上などで獲物を待ち受け、背後上空からの急降下襲撃方式で捕え、鋭い口吻を突き刺して文字通り一撃で仕留めます。シオヤアブの場合、時にはカマキリやスズメバチ、オニヤンマのような、自分より遥かに体格の大きい肉食昆虫をもそうして捕食してしまうのです。

今日は、ニイニイゼミを捕えているところに遭遇しました。

P7228011.jpg P7228012.jpg
(20120722 千葉市若葉区)

口吻がぶっすりと頸の後ろに突き刺さっています。シオヤアブに襲われた昆虫は、いつまでももがき苦しんだりしません。たいてい、ほぼ即死状態です。よほど的確に急所を捉えているものと見えます。

しかし、冒頭にも書いたように、シチュエーションが変れば勝者もまた変ります。シオヤアブの必殺の一撃も、先日「コガネグモの狩り」の項で取り上げたように、クモの網にかかっては意味をなしません。

「一番強い虫は何?」

「一番強い人は誰?」

私も小さい頃、何度も何度も、そんな質問を大人にぶつけた覚えがあります。今は、野外で、あるいは道場で、子供たちにそれを聞かれる側となりました。

「そうだね、何が強いんだろうね」

「うーん、誰が強いのかなあ」

「強さ」には多様性があること。それは、この世界が多様性に満ちていることと同じであること。ほんの少しだけ視点をずらせば、全ての見え方は変ってしまうこと。人間が成長してゆく中で、大好きな何かを一生懸命やり続けることで得られる楽しさのひとつに、そのことを理解してゆく喜びがあるのではないか。そしてそれを通じて自分の生きているこの世界を、そこに同じように生きる他者を認め、尊敬する喜びがあるのではないか。私は時々、そんなふうに思います。

※シオヤアブに関する過去の記事

シオヤアブの狩り 2009.7.21

シオヤアブの交尾 2008.8.6

シオヤアブ(♀) 2008.7.15

シオヤアブ 2008.7.10
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[ 2012/07/22 21:57 ] 昆虫類・ハエ目 | TB(-) | CM(0)
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