ウラナミシジミの交尾

2009.10.14(Wed)

「春から秋の間に死ぬまで移動を続け………北のはてに生みつけたタマゴは、寒い冬を越せずに死んでしまうのや………なのに毎年、南から北へとちいさな羽で飛んでくる。いつか自分たちが北の果てでも生きられることを信じて、つらい旅を続けるの」


このセリフの出典が即座にわかった人は、七十年代前半生まれの人か、剣道をやっている人でしょう(ちなみに私は両方該当しています)。村上もとかの『六三四の剣』で、六三四のライバル・東堂修羅の母親が、修羅がつかまえたウラナミシジミを逃がしてやったときに言った言葉です。


そのウラナミシジミとはどんなチョウか。こんなチョウなのです。都川に沿った農道の道端で交尾していました。



DAYLIGHT RAMBLER  DAYLIGHT RAMBLER  

(20091010 千葉市若葉区)


修羅の母親が説明したこのチョウの北上行動は、このブログでもイチモンジセセリヒメアカタテハ などの項で何度か言及してきた『死滅回遊』と呼ばれるものであり、このような生態のため、ウラナミシジミは西日本の温暖な地域などではほぼ一年中観察できるものの、東日本では秋に多く観察されます。基本的には東南アジアやアフリカ、オーストラリアにさえ分布している南方系のチョウで、文字通り北へ北へと生息地を伸ばしてきたわけです。


現在のところ、関東地方での越冬限界点は、伊豆や南房総に限られているようです。それを信じるならば、このカップルの生んだ卵も、ここ千葉市ではやはり冬を越せずに死んでしまうのでしょう。そして来年もまた、秋になると彼らは「生きられることを信じて、ちいさな羽で飛んでくる」ことでしょう。地球温暖化がさらに進行し、この地でも冬が越せるようになるまでは・・・

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Category: 昆虫類・チョウ目

20:56 | Comment(8) | Trackback(-) | EDIT

COMMENT

うりゅう #79D/WHSg

1. 死滅回遊


蝶が死滅回遊するとは知りませんでした
ヒメアカタテハの記事も併せて読ませてもらいました
海水魚では死滅回遊は多いですし
オカヤドカリでも見たことがあります
そうやって分布を広げていくんですね

2009.10.14(Wed) 22:31 | URL | EDIT

青菊 #79D/WHSg

2. 六三四の剣って!


村上もとかだったのですね。六三四の剣。
「JIN」がドラマ化されて、何となく名前を見ていたのですが。
つながらなかったです。

折角卵を生んでも、みんな死んでしまうのは可哀そうな気がします。
でも温暖化も困りますし…
北上行動って死ぬために北上しているように見えますが、これも大事な事なんですね。

2009.10.15(Thu) 00:05 | URL | EDIT

ちょこ #79D/WHSg

3. ウラナミシジミって


羽にぴろんと尻尾みたなのがついてるんですねヽ(゚◇゚ )ノ以前捕まえたけど気付きませんでした(´_`。)
シジミチョウは小さいのでつい「ま、いいか」って思ってしまいます。でも柄はきれいだし、幼虫にも変わったやついるし、本当は奥が深いんでしょうね^^
私もまたウラナミシジミを探してみます^^b

2009.10.15(Thu) 05:50 | URL | EDIT

スモール #79D/WHSg

4. 南からの使者


温暖化の使者のような蝶なのですね
北の地で
子供が生まれたときには
祝福できるかな

2009.10.15(Thu) 09:14 | URL | EDIT

tak #79D/WHSg

5. Re:死滅回遊


>うりゅうさん
「死滅回遊」という言葉自体、もともとは魚の言葉のようですね。
オカヤドカリもするというのは知らなかったです。私は逆に海の生き物のことをあまり知らないのでとても興味深いです。

2009.10.15(Thu) 17:56 | URL | EDIT

tak #79D/WHSg

6. Re:六三四の剣って!


>青菊さん
なのです。村上もとかの作品であります。全国の剣道人口を一時的に増やしたと言われる名作です。

明らかに越冬できない場所にも産卵するの不思議ですね。虫の心理ってどうなっているのでしょうか。

2009.10.15(Thu) 17:58 | URL | EDIT

tak #79D/WHSg

7. Re:ウラナミシジミって


>ちょこさん
この尾状突起、ボロくなるとすぐなくなっちゃいますよね(笑)。

ムラサキシジミやミドリシジミなど、シジミチョウには小さいけれど綺麗な柄なのが多いですね^^

2009.10.15(Thu) 18:00 | URL | EDIT

tak #79D/WHSg

8. Re:南からの使者


>スモールさん
今のままで温暖化が続いてゆくと、いずれ、北の地でも子孫を残せるようになるのでしょうか・・・

そのとき、農業は、生態系はどのように変化しているのか、何か我々の知らないことがたくさん待ち受けていそうですね。

2009.10.15(Thu) 18:02 | URL | EDIT

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プロフィール

大島健夫

Author:大島健夫
1974年11月20日生まれ。千葉生まれ千葉育ち。美浜区在住。

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